モーニング娘。と「芸能タレント通達」(その6)

続き(笑)。

このあたりでちょこっと話題になったので、解説します。
簡潔に説明するとこんな感じです(参考)。

  1. ジャニーズが中高生ユニット「光GENJI」を売り出した。
  2. 当時は歌謡曲や歌番組が衰退し始めた時期だが、テレ朝の「ミュージックステーション」は貴重なプロモーションの場。ここでブレイクのきっかけを掴みたいと考えたようだ。
  3. しかし、労働基準法だと児童(満18歳未満)の内、中学生までは20時以降働くことが出来ない。
  4. なので、労働基準局に申し立てた。芸能タレントは代替する者がいない存在だから労働者じゃないはずと。
  5. するとその言い分が通り、光GENJIは20時以降もテレビ出演する事が出来るようになった。

労働基準局はこれを「芸能タレント通達」と呼んでいますが、当時は「光GENJI通達」とも呼ばれていたようです。
その原文はこちら
要は「特別な才能や人気を持つことから他の者に代替できない芸能タレント」は、労働者とはみなされないんです。なので24時間好きな時間に仕事をすることが可能です。
モーニング娘。を初めとした若手女性歌手もこの恩恵を受けています。

見極め方は簡単で、「中学生以下が20時以降生出演しているか?」です。

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なので、理論的には紅白歌合戦どころか、「萩原舞オールナイトニッポン」だって可能なんですが、現在は自主規制をとっています。これは、世間の目が厳しい...とうよりも、業界内の不公平感による不満からだと思われます。
早見表を参照して頂けると判りますが、単なるタレントや俳優はこの恩恵は受けません。これは推測も含みますが、歌手は病気等で公演が出来なくなった場合、延期・中止となるなど「他の者に代替できない」のですが、俳優や声優やタレントは代役が可能だから...なんでしょうね。

象徴的な話が二つあります。
実は18歳未満のモーニング娘。メンバーも初期は深夜ラジオの生放送に出演していたのですが、ただ、その後に当時のアイドル大森玲子さん(ホリプロ所属)が同様 に深夜番組に出演し、大阪府警に摘発されました。
当時彼女は歌手でもありましたが、この恩恵は受けられませんでした。「人気がない?」...いや、今の久住小春のポジションにいた子ですので、ホリプロは彼女に対しても適用されるものだと持っていた様ですが、受け入られませんで した(参考)。
で、その後自主規制がスタートしたようです。業界内で働きかけて規制を撤廃しちゃうのも手なんでしょうが、芸能事務所もピンキリで、ヤバいところもあるでしょうから、人気歌手のようなパブリックな存在でない限り、労働者として守ってあげた方がいいでしょうね。

もう一つは、舞台子役への規制緩和です。
この件についてはこちらを参照。
これにより舞台子役に限り21時まで就労することが可能になっています。

その他のタレントについては。労働基準法に沿って活動している様ですね(参考)。