「Sキャラ」という名のもうひとつの舞台

脚本・演出を手がける、劇団「天然スパイラル」の金房実加さんのブログが一部で話題になっている模様。
ちなみにハロプロがらみでは「中野ブロンディーズ」の脚本が彼女の作品。

まず

よくわかんねぇ原作アタマに叩き込んで言われたとおり五回も直してきたのに、今更「原作をよく理解してるシナリオライターさん」が突然入って書き直すって意味わかんなくねぇ?しかも新たに要求された直しポイント、前に言われたことと180度逆だろってのザラだから。

これが事の発端なのかな?
脚本を何度かリテイクされた後に、別の脚本家で書き直すようです。ただ、歌はもう出来上がっているので、それだけは残すらしい。こうなっちゃうと、歌と物語がバラバラになっちゃいますね。
花音ちゃん繋がりであれですが、H蛇伝で似たような話があったかも。
あ、これ言っちゃいけない話だったか(苦笑)。

んで

ぶっちゃけ、Sキャラの現場は気が滅入る。今はね。やらなきゃいけないこと腐るほどあるのに、肝心の本が決定しなくて何もできないし、まるまるカットになりそうなシーンのセリフを覚えようと頑張ってる子どもたち見ると胸が痛むから。でもまだ確定じゃないしどうなるかわかんないから情報をおろしてあげることもできず歯がゆい。
こーゆーみんなの頑張りに対して正式に謝罪しろやとか思うよね。金屏風の前でズラッと並んでさ。ムダに金あるんだからそれくらいしろよホント。

さらに

子どもにどんだけの負担がいくか、いい年こいた大人が何で考えられねぇの? 完璧なシナリオ作りてえんなら最初っから原作わかってる人に任せりゃいいだろうが。あたしが介入した意味すらわかんないし、しかもこの時期にまだ決定稿を渡せないっていうのがもう。
子どもたちに何も言えないよ。カットされるかもしれないセリフを一生懸命覚えてるみんなに、このギリギリになってまだ正確な情報を伝えてあげられないもどかしさ歯がゆさ情けなさ、解る?

はい。わかります。

話は思わぬ方向へ

この佳境のさなか、子どもたちで溢れる現場へ連日通ってるわけなんですが、具体的な宿題を消化してこないやる気ナシ子ちゃんはいつしかわたしの視界から消えてゆきます。
大人子ども関係なく、ここは容赦ないプロの世界。子どもレベルに合わせてわざわざわかりやすく宿題を提示してるのに、やってこないということはイコールやる気がないということでしょ?
たとえどんなポジションであれ、やる気のない子に時間を費やす稽古はムダ。主役、アンサンブルに関わらず、わたしはやる気のある子しか引っ張りませんよ。最終的に恥をかくのは自分の責任です。「あの子へたくそ」と指さされて笑われればいいんです。サボった分全てが自分に跳ね返ってくる、この世界の厳しさを知ることもまた勉強だもの。若いうちは。 これが学校とか、「金房先生に芝居を習いに来た」というスタンスのワークショップなら話は別ですよ。わたしの仕事は「教える」ことで、子どもたちの目的は「教わる」ことだから。
でも現場はそうじゃない。同じ「プロ」として共に作品を作り上げることが仕事です。子どもとはいえギャラをもらって舞台に立つ以上、この理屈を理解できない子はその時点でサヨナラです。
恥をかかせたくない、守ってあげたいと思えるのは、恥をかきたくなくて頑張る子だけ。ぬるい意識でヌルヌルやってる子に責任はとりません。あたしに彼らを育てる義務はないんでね。もちろん作品づくりを通して育ってほしいなとは思うけど、プロとして根本的な意識がなってないのは事務所の責任だよ。

はい、ここ、伏線です。

ここからは、話題になっている部分その1です。

まず唯世役の英美ちゃん。とってもキレイな子なのにどこか自信なさげでシャイで、でもそんな控えめなところが優しい王子様キャラの唯世とリンクして日に日にステキになってます。歌もセリフも声が前に出るようになって、とっても成長しました。まだまだすると思います。すごく将来性のある女優さんです。

おはガールの「ひでみ」ちゃんです。
好きだ!苦笑

次になでしこ役の花音。中3にして既に“いい女オーラ”全開の彼女は、アイドル活動をしてるだけあってすこぶるプロ意識が高く、絶対に期待を裏切らない、パワフルな表現をする人です。歌も演技も本当に素晴らしい。マジでレッカペ出てほしい。てゆーか入ってほしい。芝居心、センス、華、実力を兼ね備えた大女優ですね。なんとゆーか、精神が大人。素敵な女性です。まだまだ伸びますよ。

「レッカペ」で検索すると「爆笑レッドカーペット」が出てきたよ(とほほ)。じゃなくて「THE REDCARPETS」という劇団のようです。花音ちゃんお呼びがかかったよ。これお世辞じゃないよ。凄いね。Tんくのヌルヌルユニット「Sマイレージ」とかやっている場合じゃいよな。

続いてちか役の明梨ちゃん。アイドルらしからぬクセのない表現力、おごったところのない謙虚に学ぶ姿勢、先生の話を聞いてるときの前のめり感、持って生まれた品性と透明感が素晴らしい彼女は、ホント予想外の成長株で吸収力がスポンジばり。NHKのヒロインとかが似合いそうな清楚な雰囲気も魅力的。最初、おとなしめの印象だったのに良い意味で裏切ってくれました。期待大。

初舞台だっけ?
彼女は結構「無表情ちゃん」だから、第一印象で損をしちゃうタイプだよな。
でも、当初彼女はアンサンブル*1だったはずなので、昇格したのかな?...でも、脚本がズタボロにされそうなので、彼女の運命は変わってしまう恐れあり。

話題になっている部分その2

さやか役の唯ちゃんは、見た目も声もウルトラスイートな妖精系。りま、あむと共に“シュガーベイビー”というユニットでデビューさせたいね、って大岩ちゃんと盛り上がるほど。鏡前で一人何度も振りを確認する、コツコツタイプの頑張りやさん。歌唄の代役を頼んだときも、本役さんに負けないくらい心のある芝居をしてくれてグッときました。間違えて人間界に生まれちゃったフェアリーっすね。バリかわ。

この仕事を持ってきたのは多分にUFSだと予想されますが、事務所パワー的には「UFI(当時はUFA)>UFS」なので、結果的にはアンサンブルになってますが、俺だったら演技も歌もできて今が旬な小倉唯を主役にすると思います。というか、ここの代役は彼女なんだろうな...怪我しちゃうくらい頑張ってるんだよな...

さくら役の彩花ちゃんは、顔も可愛くスタイルもよくさすがアイドルって感じですが、これまた明梨ちゃんと同じでまったく嫌みのない珍しいタイプの女の子ですね。印象としては控えめな感じですが、短い時間で振りを覚えたり「恐い顔で歌え」というダメ出しを忠実にやろうとするマジメさがとても良い。かなりの美人なのに高飛車なところが全然なく、むしろ柔らかい空気感に不思議な好感の持てる子ですね〜。化けてほしいです。

全く...って訳じゃないけど、初演に限りなく近い子だからなあ...彩花は底なしのピュアさが売りだから、下手に芝居しないでそのままでいいよとゆいたいです

さすがに疲れてきましたが余力を振り絞ります。ラストは主人公あむ役の憂佳。完全、彼女だけ紹介コメントとかじゃないですがすみません。
いや〜、大変だと思いますね〜。彼女のように、ほっといても勝手に真ん中に置かれてしまう子というのは。
本人の希望に関係なく向こうからチャンスがやってくる、そして当然真ん中としてのアクションを要求、期待される…
ある意味過酷な運命だろうと思います。自分のペースを追い越して重要な役を担わされるというのは、たぶんわたしたちが考えるよりずっとしんどいだろうなと。ひかりを見ていてそう思うから。
可愛く生まれつき、かつ華があるというのは大変っすよ。憂佳に関しても、年齢や経験に意識が追い付かなくて当然のときだと思うので、「主役だから」という理由でむやみに叩くことが良い方法だとは思えないんですよね。ひかりなんかは完全にそれで萎縮して本番で大コケしてるんで、何度も。
今、どうすれば彼女を主役というプレッシャーから切り離してあむを楽しませてあげられるか、彼女本来のほわんとした可愛い部分を否定せず原作のあむちゃんに近づけられるかを思案中です。
まあぶっちゃけ、そんなもん本人のやる気次第だろと言ってしまえばそれまでなんですけどね。
重圧に勝てない子は残っていけない…
そういう無情な世界ですから。
でもね、例えば「みんながやりたい主役に選ばれたんだから誰よりも頑張れよ」みたいな理屈ってイマイチどうかと思うんですわ。だって本人が主役を望んでなかったとしたら、そんな期待知ったことか、あたしはアンサンブルで楽しくやりたいんだ!!とか思うかもしれないでしょ?
望んでないのに勝手に主役にされて、身の丈に余る過剰な期待されんのってほんっとマジ苦痛だからさ。あたしのアラブの王妃みたいに。
知らねえよ!!こんなに目立ちたくねえよ!!脇で楽しくやらせろよ!!あたしにかかってるとか言われても勝手に選んだのそっちだろ!!
とか思うもん。
憂佳はあむでうれしいのか?嫌なのか?
一回話してみようと思います。
やっぱりなんだかんだあむちゃんの物語だからね。やってる本人が楽しくないとお客さん絶対楽しくないから。
ただ、弁護っつーかフォローするとしたら、「真ん中ポジションは本人が心から望んでない限り精神的に結構キツい」とだけ言わしてもらいます。
名付けて「ひかり症候群」。
もう限界。寝ます。
憂佳はピュアな良い子ですよ。可愛さを鼻にかけてゴリゴリで目立とうとする子より、個人的には彼女みたいに無欲な方がずっと好きです。
でも高い金とる以上甘やかしてばかりはいられないから、
手を尽くして、恥をかかないようにしてあげたいと思います。

「ひかり」とは、検索する限りは「室伏ひかり」さんという方が該当します。それはさておき...
憂佳がThe事務所パワーで選ばれているのは、私と今ここ読んでるみなさんの共通認識でもあります。当然ながらバッシングも出始めてはいます。「ひろしがバックについている」みたいなのは「ネットおなべ」の嫉妬の延長みたいなノリなのでスルーなんですが、でも彼女は頑張りやさんなので応援している人はそれより遥かに多いですし、その延長がこの主役だと思ってます。なんとかして、彼女の気持とおっぱいを支えてあげたいですね。

やる気の見せ方には個人差がある。憂佳は花音と比較すると有言実行型ではない。でも花音も「可愛さを鼻にかけてゴリゴリで目立とうとする子」じゃない。そんな子って、他の子役系事務所・劇団には沢山います。「エッグが『天てれ』とか出てくれるといいな!」みたいな意見がよくありますが、あの手の番組にエッグの子が出ても一歩引いちゃって目立たないと思うんです。でも、そういう「目立とう精神」と実力って関係ないんですよね。それが理解できている演出家のようなので期待はしています。まあ、女性ですから体力的にも精神的にもアップダウンはあると思いますが、頑張ってください。

以上。

K談社はセーラームーンのミュージカルがヒットしたこともあり、期待作なのかもしれませんが、その一方で大企業なりの道楽っぽさも感じるんです。なので、そのノリで見に行こうと思いましたが、ちょっと考えを改めないといけないかな。「歌だけ残して脚本総入れ替え」だと多分に失敗作の烙印を押されるとも予想されますが、私は拍手を贈りたい気分。

つーか、K談社の原作なんかより、このプロセスを舞台化した方がよっぽど面白いと思います(苦笑)。子役版「コーラスライン」というか。

*1:演劇用語で「その他大勢」という意味なんだそうです。