ハロプロユニットのパターンについて

今現在のハロプロのアーティストは、大きく三つに分類することが可能です。一つ目はつんく♂さんがプロデューサーとして君臨しているユニット、二つ目はアニメタイアップによって成り立つユニット、そして、そのどちらでもないアーティストです。三番目は真野恵里菜がそうですね。

二つ目は過去に存在したユニット内ユニット(タンポポなど)や、シャッフルユニット・スペシャルユニットとは明確に異なります。その証拠として「チャンプル」にBuono!ガーディアンズ4MilkyWayが入っていないことでもわかります。なので、これらは並行して存在しています。

既存のつんく♂ユニットを使わず、再構成したユニットを採用する目的はハッキリしませんが、表面上出ているものは二つ考えられそうです。ひとつは「アイドルとアニメでは、それぞれの支持層が違うこと」であり、もうひとつは「つんく♂に頼らない楽曲制作」です。

前者の話は後回しにするとして、今回は後者の話を中心にしていきます。

Buono!の最近のシングルを除いて、つんく♂さんのカラーを排除していることが大きな特徴です。

これ自体は私的には歓迎したいところです。

特にBuono!コンペティション(コンペ)を意識した制作スタイルになっていそうです。これは既にこの時点で取り上げてますね。コンペ自体はCMモデルオーディションと同様、業界内の閉じた世界であり、当事者が暴露しない限り決して表沙汰にはなりませんから、100%そうだとも言えませんが、作詞家が固定であることがヒントにはなっています。

ただ、UFWはコンペ嫌いだとも感じてはいます。UFWからリリースされている月島きらりavexビーイング系の人気作家を、アテナ&ロビケロッツはアニメ系の人気作家を...と、コンペではなく「決め打ち」だと思うんです。ただBuono!のアルバムはそうでもなさそうだぞ...が、当時の印象でした。これは「それを見越してUFWではなくPCで」なのか「契約上の問題でPCにしたら、いつのまにかそうなっちゃっただよ」なのか当事者に聞かないとわかりませんが、多分に前者だろうと。

実は私もコンペは好きじゃないですね。
コンペは手っ取り早くヒット曲を作る打ち出の小槌ですが*1、これだけの弊害がありそうです。

  • 日の目を見ない曲が大量に出来てしまう
  • 落選した曲もキープという名目で押えられるケースが多々あり、事実上、書き捨て状態になる
    (キープされた曲が数ヵ月後に、別目的で日の目を見るケースもあるらしい)
  • コンペの参加費用は作家持ち
    (自己の人件費の他に、機材費、仮歌レコーディング費用など、相当の費用を負担しなければならない)
  • 成功報酬(印税)は作家の所属する事務所に搾取されるケースも
    (業界内でしか情報を得られないケースが殆どだと思われるので、作家は事務所に所属していないと仕事にありつけない)
  • 名目上はコンペでも結局人気作家が採用されることも
    (今のBuono!の現状がこれかもしれん)

私は業界人じゃないので、通常知りえない情報ですが、これらの話は2chの「コンペ」スレッドを読むと割と出てきます。以前は「楽器・作曲」板にありましたが、ミク以降「DTM」板に作られるようになりましたね。大体avexなどそのシステムを採用するレコード会社の悪口に繋がったりします。
他にも「作曲家で生計を立てようなんて無理」的なスレが立ったりします。
見ていると結構悲惨ですね。
消耗度が激しいようです。

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とまあ、昔ならば有名作曲家に弟子入りして、売れないアイドルのアルバムからキャリアスタート...なんてケースがスタンダードだったと思うのですが、今はコンペか、インディーズ活動からスタートという流れなのかな。
ただ、コンペがこんな有様だと思うので、多分に同人音楽(同人ソフトの音楽)あたりから...が今後主流になってくる可能性もありますね。というかアニメ・ゲームはサウンドチーム制が主流になりつつあるので、もう数歩先を行っています。

ちなみに、サウンドチームとは、概ね、数人の作曲家・作詞家・アレンジャー、そして歌姫と呼ばれる歌手から構成されるものです。漫画家の制作集団を連想させるマニアックな手法かもしれませんが、「こんな感じの曲が欲しいんだけど」といった多様な要求を複数の作家でカバーすることで、同人を含めたPCソフト(特に18禁)からのニーズに応えることができます。それが成長して評判を呼ぶと、UHFを中心とした深夜アニメなどをステップに、メジャーな声優アーティストにも楽曲を提供して...というサクセスストーリーが待っています。
ただ、あるジャンルの曲が流行ると、みんなその方向に突き進んで行っちゃうのは、コンペも、サウンドチームも変わらないところです。サウンドチームのある人に人気が集中しちゃうと、チーム内の曲の多様性は確実に失われていきます。

私的には、フリーの作家さんや、インディーズや同人でプロを目指している作家さん(サウンドチーム含む)向けにオープンなコンペをまずやって(というかエッグみたいな常設オーデですね)、人(チーム含む)をキッチリ選んで、ある程度生活を保障した感じで育てていくのが、やっぱり責任あるレコード会社の仕事かなと思っています。特にアップフロントさんはグループ内にレコード会社と音楽出版会社を持っている珍しい事務所ですから、それが出来る数少ない環境かなと。

活躍の場はあります。たとえば「ともいき・木を植えたい」や「飛行船プロジェクト」といったチャリティー企画ですとか、人気アーティストのアルバム曲ですとか、デビュー前のインディーズモノとか、色々あるわけです。特に、現状のハロコンのアルバムは「シングル集+α」の存在でしかないため、購入者も少なく、存在意義すら問われそうな今日この頃ですから、ここを積極的に活用した方が良いですね。
さらに、UFS系のアーティストが起動に乗ると、そちらの方でもニーズがあるかなとは思っています。そうなるとシングル曲のチャンスがある訳ですから、モチベーションも上がるかなと。

とまあ...ここまで書いたら、毎度毎度の念仏「つんく♂TNXで何してきたの?」ってことになりそう(笑)。ハロプロの世界観を守るためには、本来は彼が積極的に関わって欲しい部分ですが、その気がないのなら、今まで彼が作った作品を聴かせて「これと似た感じで作ってちょ」でも、もう十分な気がします(笑)。

というか、ええ格好しいだから、むしろ邪魔な存在かもしれないですね。
なまじ実績のある人だから、他の作家もイエスマンになっちゃいそうですし、迂闊に逆らえないでしょうし。

まあ、そんな感じでハロプロ周辺を見るのも楽しい今日この頃です。

*1:AKBの持ち歌が異常に多いのは、これじゃないかな?