マーティ・フリードマン

洋楽の世界では、ここまで「合いの手」を効果的に使いこなしてる曲はほとんどありません。

つんく♂さんが愛してやまないビートルズの影響かもしれませんね。貴方の大嫌いなビートルズですよ。
彼は常にライブを意識して曲を作るので、システマチックなスタジオセッションであっても一発録り感を出したいと思っているのかもね。ビートルズはレコーディングでのハプニングやアドリブ的なものを割と採用する傾向があったので、その応用ともとれる。

 今回の新曲でもうひとつ「さすが、つんく♂さん!」と思ったのは、間奏です。インドなのか中東の国なのかわからないけど、エキゾチックでアジアっぽいメロディーがいきなり出てくるなんて予想もしてなかったし、その「びっくり感」が最高でした。つんく♂さんの曲には、そうやってワクワクする要素が絶対になにかしら入ってるし、だからこそ、聴いてる人みんながハッピーな気分になれるんだと思うよ。

これもビートルズの影響かな。おっさんもビートルズ聴こうな。
つんく♂さんはビートルズのメロディーラインをパクったりはしませんが*1、ヒット曲の技法はパクっています。その辺りも説明できるようになって欲しいと願ってやみません。

 モーニング娘。の妹ユニットに当たる℃-uteの新曲『涙の色』も、つんく♂さんが作詞作曲を担当してて、ちょっとラテンのタンゴっぽいノリが楽しい曲です。この曲に限らず、J-POPには、ラテン系っぽい曲がしょちゅう登場するよね。でも、考えてみたら、ラテン音楽のコード進行って、実は演歌の典型的なコード進行とそんなに変わらないんだよ。だから、日本の音楽と相性がいいのも当然なのかもなんです。

私が割と書きがちな「海外進出するなら米国じゃなくて欧州へ」に通じるところがある。「ラテン」だと南米を想像しがちだけど、南欧もそう。具体的にはイタリア・フランス・スペイン・ポルトガル。オタク系イベントも多く行われている地域です。美的感覚が日本と似ているんですね。「kawaii」というセンスが似ている。まあ東欧もそうですし、欧州は総じて日本文化が馴染みやすい地域だと思います。

 ただ、彼女たちって、一番年齢が下のメンバーは12歳とかなんだよね。同世代の子が応援するのは分かるんだけど、ファンには30代とかの男性もいっぱいいるらしいじゃん。それって、僕からすると「……ロリコン?」って感じで、どうしても理解できない現象です。たぶん、日本の「オタクカルチャー」については、もっととリサーチしてみないといけないのかもしれません(苦笑)。

海外でもジャクソン5とかデフランコ・ファミリーとかいたじゃん。
これは「オタクカルチャー」ではなく、子供が大人っぽい背伸びした曲を歌うことで曲の良さを引き立たせる技法です。ムード歌謡に見られる「女心を男が歌う」というものと同じ。これは「異なる性の歌手のカバーをする場合、歌詞を変えることが一般的である」欧米(多分に米英)の文化には馴染みにくいものです。「12歳の女の子に歌わせる必要が何故あるの?」になりがちかもしれない。ただこれが「American Idol」みたいなオーディション番組でちっちゃい子がガンガンデビューしてくれると状況は一変する可能性はある。
つーか、「ロリコン」とか言い出すとアグネス・チャンが飛んでくるから止めような。せめて「kawaii」にしてくれ。殆どのファンは「そろそろ毛が生えそうだから応援するのは止めよう」なんて考えてはいません。彼女達が20歳になっても応援するはず。その辺りが(キャラクターが年をとらない)オタク文化と大きく異なるところです。ハロはキャラクター商品的なアプローチもするので勘違いしやすいところなんですね。

でも、そういう「何でもあり」な発想がハロプロのいいところだと思うし、今回の3曲を聴いて、僕はますますハロプロのファンになりました。いつか、どんな形でもいいから、つんく♂さんとコラボしてみたいな!

何だかんだ言っても、人間的にはいいヤツだから大歓迎です(苦笑)。

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そういえば、最近、彼の著作「い〜じゃん!J-POP」(ASIN:4822263193)を手に取りました。本屋で。
内容的にユニークなので特にああだこうだと文句を言うことはありませんが*2、彼の評論のベースになっているものが実に興味深いです。

「歌謡曲」とも「邦楽」とも言わずに「J-POP」と呼んでいること。
本来の「J-POP」の範囲が狭いことを無視していること。
どちらかと言えば1990年代(特に後半)以降の邦楽に傾倒していること。
ハロプロでは、あややあいぼん厨らしいこと。

そして彼の米国時代の音楽性が結構狭いこと。
米国のチャートもビルボードが1991年に改革をしてブラックミュージック有利になる前までは「何でもあり」の世界だったことに触れていない点や、彼がその「何でもあり」のご先祖様であるビートルズを毛嫌いしていることから、それが判ります。
まあでもビートルズ嫌いってのはミュージシャンなら何となくわかる。こちらでもサザンから影響を受けたことを前面に押し出すアーティストってそういないのと一緒ですので。オリジナル性を重視したいのなら避けるアーティストのひとつかもしれません。いわゆる「そっくりさんバンド」になっちゃうからね。
それとも、もし彼が南部出身なら、ジョンのキリスト発言を未だに根に持ってたりして...

あと、J-POPが「何でもあり」...ってのは、総括的考えるとそうなのですが、細かい点では危惧すべき点が多い。
洋楽志向のハロプロは、ルール無用かつセオリー無視で色んなものを吸収しているから面白いんだけど、他社ではかなり型にはまったアレンジをするところが結構ある。これは代理店主導のイメージ戦略がセオリー重視だったり、コンペ形式の悪影響であることと、J-POPから影響を受けているコンポーザーが結構いることも大きい。

それと別のインタビュー(前編後編)ではパクリ容認的な発想にも読めるのだが、度の過ぎた「盗作」は迷惑をかけるのでマズい。ただ音楽的なルーツや、影響されたと見なされる部分はむしろ尊重した方がいい。その線引きがあいまいだから猫も杓子も「この曲は○○のパクリ」一辺倒になってしまう*3。そのあたりを上手く説明してくれるといいかな。外国人の言うことは聞くと思うので(苦笑)。

*1:まれに例外あり。

*2:第3位にあげた「三人祭」は、コニー・フランシスに似たイメージの曲があるので、完全オリジナルとまでは言えない...くらいかな。

*3:詞に関しては言葉として判りやすい部分もあるので、パクリ疑惑が作りやすいということもあるけどね。ちなみに米英では歌詞カードが付かないことが多いし、現地の人も歌詞を聞き取れなくてもOKというノリで聴いていましたので、日本独自の問題かもね。