バッシングと批判の違いについて(その2)

↑の続き。
(当blogのポリシーでは最新記事は上に記入することになっておりますが、これは連載コラムなので、読み易いように下に追加します。)

もうちょっと詳しく書きますね。

対岸の火事(というか煙)をみて喜ぶのがバッシング(非難)です。その一方、実際に対岸へ行ってみて火事の現場を見たり、それが出来なくともテレビなどの報道番組やブログなどで複数の第三者の意見を引用しながら、何が問題なのかを知り意見するのが批判(批評)です。
よくモーヲタに関する書き込み(「モーヲタが某ユニットに流れている」など)を見ますが、具体的な状況を表すリンク先が提示されていない場合がほとんどで、残念ながら正確性を疑わざるをえません。また「キモい」というのは生理的な意見としては理解出来なくもないですが、これも非難レベルのお話です。生理的に受け入れられなければ「書かない」という方法もあります。

つーか、バッシングとか言い争いではなく、もうちょっとレベルの高い批判を読みたい今日この頃なんですけど。

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それと。
とりあえずバッシング対応のFAQを作っておきました(笑)。
一応ヲタ向けに要点だけ書いておりますので、一般人にはこれを判りやすく伝える必要があります。

まずは「ヲタ芸」編です。

サイリウムとかってキモいんだけど、あれは何?
海外のライブではバラード曲でライターに火を灯し手を上にかざすシーンが登場しますが、日本では消防法に基づきライターの使用は禁止されていますので、ペンライトを使用することになります。
1990年代ではまだサイリウム(一般的にはケミカルライトという言葉の方が通用します)の入手は容易ではなかったかと思いますが、近年は大規模小売店舗のパーティグッズコーナーや100円ショップでも入手できますので、使用頻度は一気に高まっています。
これはPPPHよりも、「捧げ」のアイドルシーンへのインポートが大きいのではないかと思われます。
アイドルライブでも、ライブに余り慣れていないファンが多く訪れるものや、フレッシュなJ-POPアーティストのライブでは、サイリウムを持参する人はあまりおりませんので、演出として主催者側が配るパターンもあるかと思います。
その演出とは「アンコールにサイリウムを一斉に灯して、○○ちゃんを泣かそう」系の企画だったりしますので、この子はやっぱりアイドル視されてんだなあ...ということになるかと思います。
これはヲタ芸ではありません。

イントロで「ハイ!ハイ!」とか叫んでてキモいんだけど、あれは何?
「オイ!オイ!」ですね。ちなみにこれの名称は不明です。
これは昔のアイドルシーンには無かった様な...でもこれはアイドル声優やゲームの歌姫ライブでも普通に行われていることなので、1990年代の後期から末期あたりには既にあったのかもしれません。
これは(アイドル歌手ファンとサポーターとの繋がりを考えると)サッカーシーンからのインポートなのかなあ...???
これはヲタ芸ではありません。
こちらでもジャンプといったアレンジメントを加える方も目立ってきましたが、これはアイドル声優シーンでは一般的に行われているものなので、これもヲタ芸とは言えません。

Aメロで「LOVEラブリーなっち!」とか叫んでてキモいんだけど、あれは何?
コールのひとつです。
この手のものは1970年代からありますので、当時アイドルのライブを観に行ったことのあるひとなら、感慨深いものだと思いますよ。
ちなみに1980年代の親衛隊では「L・O・V・E」とか「C・U・T・E」とか「ウー レッツゴー!」だったと思います。これは曲のビートがかなり異なるので今では使えないかもしれないですね。
これが乙女塾時代だったら「なつなつなつなつ なつみー!」(空白は一拍おく)だったと思います。これは復活しても面白いかも。
これはヲタ芸ではありません。

Bメロで叫びながらジャンブするのがキモいんだけど、あれは何?
PPPH」ですね。
これは別にハロプロに限らず、立席スタイルのアイドル歌手(アイドル声優やゲームの歌姫含む)のライブの殆どで見かけるものです。起源は不明ですが、「おニャン子クラブ」のライブ映像では既に原型をみることが出来ます。ジャンプの無い「PPP」ならば1970年代後期から存在します。これはフジテレビ721で再放送されていた「夜のヒットスタジオ」でも出番待ちの歌手(演歌歌手含む全員)が曲に合わせて簡単な手振りをするシーンを割と見かけますが、そこでもいわゆる「1・2手拍子」(「アイドル手拍子」)は出てきます。
これはヲタ芸ではありません。ただしアレンジメントを加え小集団で行うものはヲタ芸とみなされます。

曲の最後の方で皆が急に黙って手を前後に振り始めてキモいんだけど、あれは何?
これはハロプロファンの間では「ロミオ」といいます。
他のアイドルファンの間では「ケチャ」の方が通用すると思われます。
これは他の音楽ジャンルからのインポートで、ビジュアル系ロックバンドの「捧げ」が原型だと言われています。
単に手を振りかざすだけのものはヲタ芸ではありません。
但しアレンジを施したもの(例えば最近流行りのイナバウアー風のもの)はヲタ芸となります。というかあれはイナバウアーブームの前から存在するものですけどね。いわゆる「背面ロミオ(背面ケチャ)」といわれるもので、アレンジの多くはマイナーアイドルの活躍の場である小規模ライブハウスで発展しハロプロにインポートされたものです。

「振り真似」しているひとがいてキモいんだけど、あれは何?
つーか、娘。ブームの時に、素人の振り真似がテレビで流れていましたよねえ。
これは大御所のライブでもやることだと思いますよ。
これもヲタ芸ではありません。

じゃあヲタ芸って一体なんなの?
観客が(主に目立とうとして行う)パフォーマンスの一種です。主に小集団で行われ、ライブ会場では主に後方で発生します。
「ヲタ」という表記自体が最近の言葉であるとおり、これはハロプロが始まって以降の造語であることは間違いないでしょう。
アイドルファン(非ハロプロファン)の間では(私の記憶では)少なくとも2003年の半ばまででは「ヲタ芸」という言葉は使用されていませんので、主にハロプロファンの中で熟成されてきた言葉です。
当時は「皆でやるアイドルライブの標準的な応援フォーマット」と「ライブで見かける特徴的な人たち」と「小集団で行われる怪しげなパフォーマンス」がごっちゃになっていましたが、現在では主に「小集団で行われる怪しげなパフォーマンス」のみを指すようになってきています。
ヲタ芸の源流は「親衛隊」まで遡るそうなのですが、私は親衛隊員ではなかったので詳しいことは判りません。
現状は「マイナーアイドルの小規模ライブハウスやハロプロ系クラブイベントで発生・認知」→「ハロプロ関係のライブで発展・批判」→「他のジャンルのアイドルシーンに波及(あるいはフィードバック)」という流れがあると思います。
ヲタ芸」に関しては隣りの方に迷惑をかけることになりますので、ハロプロのライブでは開演中は絶滅傾向にあります。
なので現在は、ハロプロ系のライブの開場待ちの馴れ合いや、終演後の盛り上がりや、上記の「マイナーアイドルの小規模ライブハウスやハロプロ系クラブイベント」で主に見かけることになるかと思います。これらはヒップホップにおける「バトル」に似ているのかもしれません。
また、「ヲタ芸」が認知される以前にファンになった方が主流のライブ(例:安倍なつみ)で見かけることはまずありません。

つづけ。