アイドルファンについて(その3)

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特攻服にこだわりすぎると、論点がおかしくなっちゃうかもしれませんね。
整理すると、二つの側面が見えてきます。

ひとつめ。

もともと「おたく」という言葉は1980年前後にサブカル系の論者を目指していた方(中森明夫氏)が提起したものですが、当時の「ネアカ」「ネクラ」ブームの亜種なんですね。なので中森氏も当初は「今時サファリジャケット着ている連中はダサい」といったファッション誌的な切り口だったんです。それに触発されてアニメや漫画の投稿中心の雑誌などがオタクファッションを特集したりもしたかな。1980年代初期から中期の話です。そのステレオタイプ宅八郎氏とか秋葉カンペー氏といったキャラクターの参考になっているくらい、一貫したものです。
ということで、「おたく」という言葉はファッションと切り離せない蔑称なんです。ただ、M君事件以前はマニア界のひっそりした言葉であって、後にサブカル系の呼ばれるとんがった人たち(中森氏含む)が、生粋のおたく系ファンを揶揄する際に使用していました。その時代を経験した私にとっては、ホンダ。さんの切り口は、その立ち位置に近いのかなあ...と感じています。
私は当時は彼女もいて割と気を使っていた方なので、立ち位置的にはサブカル側だったのですが、おたく側を下に見ることは無かったです。

ふたつめ。

イベントは「日常の延長線上」とは私も書きましたが、あくまでマナーとして考えるべき話で、イベントやライブ会場ってのは『祭り』なんです。海外ではカーニバルとフェスティバルという言葉で使い分けているようですが、その違いは(大雑把に)自ら参加するか、眺めているかの違いです。
スポーツ観戦はどちらかというとその中間です。サポーターとか「俺たちは○番目の選手」ですね。ワールドカップの観客席もそうですし、プロ野球の外野席には法被姿の方もいらっしゃいます。

多くの歌手の活動拠点はフェスティバルです。TNXのイベントに興味がない方でも、最近の藤本美貴の活動をみると巨大ショッピングモールや、放送局のイベントなど、いわゆる余興としての性格が強い。
一方、今の様な熱狂的な応援スタイルは、キャンディーズあたりで誕生したと思いますが、当時からファンは法被を着ていました。ただ徐々にアイドルビジネスがシステマチックになるにつれ、声援は親衛隊任せで、一般客は手拍子程度で比較的大人しく見ていたと思います。ただ、それが歌番組からライブ活動にシフトすると、今のスタイルに近くなっていきます。ターニングポイントは1991年頃かな。ここでフェスティバル中心の歌手と、カーニバル的要素を併せ持つ歌手とに分かれます。非ハロは主に前者、ハロプロは後者の流れです。「俺は○番目のメンバー」なんてキモいこと言う人は殆どいませんが、その領域に片足突っ込んでいる方は相当数いらっしゃると思います。

TNX(NGP!)に関しては、多分に時東ぁみと一緒にやっていた頃はハロプロ同様カーニバル的要素が強かったと思うんです。ただ、フェスティバル的な活動を半ば強要され、このまま放っておけばTNXからはカーニバル的な要素は絶えちゃうかもしれません。それをどう捉えるかですね。

以上です。

論点的には「フェスティバル要素の強い現場は一般客も多いので、普段着からかけ離れた応援スタイルは控えるべき」という部分では同意です。私も℃-uteのインディーズ時代には指摘していますので。
ただし「ファッション的にダサい」というニュアンスを含んでいるのが気になります(≒「キモヲタ」という表現)。「おたく」の本来の意味と同様、個性を否定する論調になりがちですので、整理し、時には切り離した方がいいですね。私はそこを指摘していたのです。

まあでもリンク先の文章を読むと、着地点はさほど変んないとは思いますけどね(苦笑)。