Wikipediaの「アイドル/アーティスト」論について(その2)

続き

レスなのれす。
たたみます。

カエサルさん(トラックバック)。

ただ、私にとってハロプロは「他のいかなるものとも違う存在」なので、昭和歌謡の文脈に組み込まれるのはどうかなという思いがあります。

昭和歌謡は範囲が広すぎるのでアレですが(私だと「メキシカンロック」みたいな曲がそれだな。)、昭和から平成に差し掛かった当時は歌謡番組が衰退し、ビッグバンドから開放されたことが、サウンド的に大きな変革をもたらしたのは確かです。
歴史的に考えると、その当時(1990年代前半のアイドル歌手受難の時代)に試行錯誤して創り上げたノウハウが花開いたものが、今のハロプロサウンドの大きなウエイトを占めています。なのでサウンド的には1980年代アイドルとの接点は少ないですね。
ただ、私の書いた意図は、その部分ではありません。例えば前回は明言を避けましたが、山口百恵的なタイプの歌手は、すなわち今でいうところの歌姫たちに相当します。
なので(ちょっと前に戻りますが)...

アイドルの定義を広げることで「モーニング娘。より(例えば)浜崎あゆみの方がアイドルとして上だ」と言われる可能性もあるのです。

アイドルの定義もなにも、人気歌手という意味においてはそれに当てはまります。例えば海外のJ-POPマニアはハロプロ浜崎あゆみを同じ土俵で語るひとも多いと思います。

というなら、「American Idol」出身者に萌えることはあるのかという疑問が出てきます。

ここで例えている「Idol」という意味は...

1 崇拝[尊敬]される人[物];(…の)人気者, アイドル*1

・ a TV [pop] idol
テレビの[ポップスの]人気者

・ an idol to millions of young people
何百万人もの若者たちのアイドル.
(「プログレッシブ英和中辞典」より)

...です。
海外ではいわゆる「ポップスター」的な人気者と、「サッカー選手」の様な少年少女のあこがれの存在という意味で使われています。よって「アイドル歌手」っていうのは「人気歌手」という意味で捉えられるので、日本語版Wikipediaを翻訳したところで特に間違った解釈はされないと思うんです。

問題は今の日本人の解釈です。今の(高年齢化している)グラビアアイドルと同じくらいの世代(20代後半あたりの人たち)が「アイドル」=「アイドルという職業」という意味で卑下しちゃっているのでしょうね。ただこれをベースに文章を組み立てても海外の人たちには意味が的確に伝わらないでしょうね。特に「マイナーアイドル」とか「インディーズアイドル」とかは(笑)。
(欧米で日本の18禁アニメや漫画などを「HENTAI」って呼んでいるのと似ているかもしれないですけどね(笑)。)

ところが、例えば℃-uteの昨年のインディーズ展開や、現在のTHE ポッシボーの展開を「地下アイドル」と称し、強い違和感を持っている若い世代が増えていることも事実かと思います。それは逆に言うと「アイドルはもっとキラキラ輝いて欲しい」って思っているんじゃないかと。
さらにもっとちっちゃい子が「きらレボ」に夢中になっていて、親御さんがそれを間違ったフィルター無しで与えていますので、やはりモーニング娘。の影響はとてつもなく大きいものだと思います。
この二つの世代がやがてメイン客層になっていきますので、それに向けての戦略が的確であればそれでいいと思います。

ハロプロはかわいいだけの存在ではないことを主張したいところです。

それは、エルダーの方々の仕事かもしれないですね。特に今だと里田まいの仕事かな。でもハロヲタの某嬢に「まいちんキザカワユス」とか言われてるかもしれませんね。それだけ可愛いの基準はファジーです。

ただ、今回℃-uteのライナーノーツで登場した「KAWAII」はかなり明確な「可愛い」だと思います。この方面でもうそろそろ久住小春が話題になると思うので、そこがチャンスですね。

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ちなみにアーティストって言う言葉も今では間違った認識で使用されています。

1 芸術家;美術家, (特に)画家, 彫刻家, 絵のうまい人, アーチスト, 芸能人(artiste). ▼artistは芸術(fine arts), artisanは技能(craft)や応用芸術(applied art)に従事する者をいう。
(「プログレッシブ英和中辞典」より)

「artiste」ってなーに?

[名]舞台芸術家, 芸能人(特に俳優・歌手・舞踊家など)[フランス語]
(「プログレッシブ英和中辞典」より)

歌手のことを「アーティスト」って呼び始めたのは1975年前後のフォーク全盛時代からニューミュージックに進化するあたりだと記憶しています。当時使われていた「シンガーソングライター」(SSW)を指す言葉としてインポートされたのだと思いますが、当初この言葉を使った人達は単に「シンガー」=「artiste」的な意味合いで使ったのだろうと想像できます。しかし程なく、芸術家的な意味合いを意図的に含ませることで、ワンランク上のシンガーであることをアピールできる便利な言葉だから普及したんだと思います。まあ仮定の域を越えない理論だけどね(苦笑)。
このあたり詳しくお話できるひとっていませんかねえ?

*1:to ...