「音楽CDの再販制度」と「販促活動」

音楽CDの再販制度は崩壊するか?(音楽配信メモ)

うーん...単純に、チャート命の大会社が自分の都合のいいように操れる再販制度を堅持しようと画策している様にも見えますけど。まあそんな単純なお話じゃないんでしょうね(笑)。

CDの再販制度というのは、基本的に「返品」とセットになっている。小売店(CDショップ)に納品された売れないCDは発売元に「返品」し、小売店は納品時に支払ったお金をレコード会社から「返して」もらえる。これが小売店にはリスクヘッジとなり、いろいろな商品を仕入れることができ、再販制度維持派のよく主張する「カタログの多様性」につながっていた部分があったわけだ。

再販制度はいわゆる委託販売(納品(納入)時に預かり品として仕入計上せず、売上のタイミングで同数を仕入計上する)ではなく、返品保証された買取返品システムなんですか。
まあ万引きなども考慮するとそうなるのかなあ。

再販廃止っていう意味では、お前が所属している出版の業界はどうなんだよ? と言われると、日販トーハンが支配するいびつな状況が改善されるのなら再販なくなった方がいいんじゃないのか、くらいには思ってる。

上記の引用の「支配する」ってのは、多分に発行部数を彼等が握っている側面があるのではと解釈しています。

だからこんな感じで販促会社のニーズがあるのだと思いますが...
(まあ、元になった記事(その1その2)はCD業界なのですが、出版業界にも知られた存在でしょうから、根本は一緒だと思います。)
ついでに、参考となる言及もリンクしておきます。
(「子供騙しの猿仕事日記」さん、「Negative Surprise」さん)

いうまでもなくこれは販売活動の一種です。違法性はないでしょう。
(ただ、「粗利益の金額を枚数分だけお店の口座に振り込む」ことで売ったことにする行為は気にはなりますが...)

ちなみにこの手のサクラを斡旋する会社は私も「出版」で使ったことがありますので、残念ながら実在します。まあ出版界のランキングは「○×書店調べ」という様に書店名が提示されるものもあり、CDほど広く買わなくて済むので、社員などで賄えるとは思いますが。

それと、サクラを使うのはランキングの上位に食い込みたいということもあるでしょうが、そうではなく単に次号(次回作)の発行部数(納品数)を確保したいというシビアな問題もあったと記憶しています(売上数が少ないと次回の納品数が絞り込まれてしまうので)。これは取次に意見を述べにくい立場である中小出版社固有の問題でしょうから、音楽業界にはあまり関係のないことかもしれませんが...

ただ再販制度がなくなれば取次制度が崩壊するということにはならず、逆に売れる商品だけしか仕入れないよという傾向が「一時的」に強くなるとは思います。この「一時的」にってのがミソで、専門書籍は尚のことネット通販に移行するだろうし、マニア向け商品は直販(予約限定販売)になるかもしれない。そういう意味では書店のもつ意味が相当に薄れてしまうので、書店サイドはバランスを取ろうと必死になるかもしれないですね。

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ついでに。
話を強引にこちらサイドに持っていきます。

ハロプロ勢はチャートでは苦戦しています。
理由としては、そのような会社ぐるみの販売促進活動が暴かれると「2ちゃんねる」の全書き込みの1割程度を占めるともいわれるハロプロ関連板で大騒ぎしますので、そういう行為は一切出来なくなってきていることが挙げられるでしょうね。
個人的には、それ以前にファンがその気になればチャートは如何様にも操作できるとは思っていますが(笑)、まあそれを無理強いする必要もないかなあとも思っています。

なので、単純にファンに買ってもらうにはどうしたらよいか?という話になりますが、今年に入って(オリコン協力店に影響を与えそうな)販促イベントは、いまのところBerryz工房のみです。
お陰で2006.03.28付デイリーチャートで3位なんだとか(苦笑)。
要はネクストブレイクアーティストを中心に効果的に販促をやりましょう...ということなんだろうと思われます。

一方、2006.03.25に発売開始した「LET'S GO 楽天イーグルス」のように、限定発売というケースも模索しています。
それだけではなく、ファンクラブでは月に平均2〜4タイトルのFCオリジナルDVDを限定販売したり、コンサート会場で限定DVD(「DVDパンフレット」と呼ばれる類のもの)を販売するなど、確実に商売になる層向けに切り替えている向きもあります。

そういう意味では一歩先を読んでいるのかもしれなないですね。
(CCCDは見向きもしなかったですし。)

ただ、その一方でFCやコンサート会場で売られる限定DVDには「TGBS-nnnn*1」といった一般小売店向けの規格番号(カタログ番号)が併記されていたりもするので、このあたりはちょっとしたずる賢さも感じます(笑)。

そうなるとコアなファン層の裾野を如何に広げていくかが課題になってくる。現状は10万人程度のファンを相手にしていると思われますが、もうちょっと裾野を広げて、広く浅く搾取(笑)してほしいとは思っています。

*1:「TGxS」については、私はソニレコの企画モノ・インディーズ扱いの規格番号だと推測しておりますが、真相は不明です。過去にはEASTEND X YURIの初期CDや、メディアファクトリーのCD、カントリー娘。の北海道限定CD、ハロプロのハワイ盤CDにもついています。