「ガールポップ」誌休刊へ

Nohji's Rock'n Roll Shop」によると「ガールポップ」(「GiRLPOP」)誌が休刊するのだとのこと。

2006.3.12
そだ。ちょっと寂しいお知らせをひとつ。ライターとして長年お世話になり、最近ではハロプロ番として『モーニング娘。×つんく♂』『同/2』『99の後藤真希』という3冊の本も出していただいた雑誌『ガールポップ』が休刊になるとのこと。谷村有美ちゃんや永井真理子ちゃんとガールズ・トークしていた初期の頃からたくさん想い出はあるのですが、なんとゆっても最近は“おやびん×オレ”が師弟の絆を深める交流場だったし。しかも、取材のアウトテイク・ネタをこのサイトで公認非公認流出……という裏ワザにて、おやびんヲタのみなさまにも楽しんできていただいたし(笑)。女のコたちにも『ガールポップ』は写真がカワイイから好き♪と応援していただいてたし。そういえば編集部に届いたわたしあての手紙も、ほとんど女のコからでした。うれしかったなぁ。娘。にしてもごっちんにしてもWにしても、わたしはインタビュアーとしてハロプロのお嬢さんたちにはものすごく勉強させてもらってきた。その結果がどれだけ誌面に反映されたかは自信ないけど、いつもガチンコ勝負でしたよ。泣かしたこともあるし、泣かされたこともある(笑)。特に『娘。×つんく♂ 2』の時は5期6期の成長話にホロホロ泣けてばっかりで、何人のメンバーにインタビュー中「だ、だいじょぶですか?」と苦笑&心配されたことか。やっぱし、歳とって涙もろくなったんですかねぇ。創刊初期は同世代のアーティストが多かったのに、今は全員ムスメみたいな世代ですからね。でも、ふだん接してる時はムスメ世代なんだけど、取材中にはジェネレーション・ギャップを感じることはあんまりなくて。そのことに気づいた時、表現者として自立している人には年齢は関係ないんだなぁとあらためて思った。などなど、想い出話をすればキリがないんですが……読者のみなさま、ありがとうございました。

時代の流れなのでしょうか...つーか、「ガールポップ」という解りにくいジャンルでは明確な方向性が打ち出されないと判断されたのでしょうかねえ...

ともかく、お疲れ様でした。

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おまけ。
長文注意(苦笑)。

さて、その解りにくいジャンルの「ガールポップ」について、ちょこっと紐解いてみます。
近年では「ガールポップ」≒アイドル歌手的な表現をされることが多々ありますが、正しくは「ガールポップ」キーワードにある...

ソニーマガジンズから出版されている、女性の音楽アーティストを取り上げている雑誌。

また、この雑誌によく取り上げられるようなアーティストを括る「ジャンル」として「ガールポップ」という言葉が使われることもある。

...がほぼ正解です。つまりソニーの造語です。

昨年行われたイベント「in the city TOKYO 2005」にはこのような記載があります。

92年7月「WHAT's IN?」の別冊として創刊。当時音楽専門誌のなかで女性アーティストがフィーチャーされるチャンスが少なく、女性ボーカリストオンリーのキャスティングは"コロンブスの卵"的なものとして注目を集めた。以後、森高千里安室奈美恵、SPEED、浜崎あゆみBoAなどその時代を代表する女性アーティストを取り上げる一方、新人アーティストの育成にも力を注ぎ、92年から98年の6年間に約30回にわたるライブ・イベント“LIVE GiRLPOP”(会場は新宿・日清パワーステーション、日比谷野外音楽堂、大阪BIGCAT)を主催。雑誌発の定期イベントとしては画期的なものになった。

私の出る幕ないですね。
ライブ興行や専門誌としては、ソニーに限らず(声優を含め)他のレコード会社のアーティストも取り上げました。

思惑としては、ソニレコを中心に、1970年初頭に(CBSソニー時代に南沙織にて自ら仕掛けた)ヤングポップス(後のアイドルポップス)路線を強引に捨ててまで仕掛けたジャンルです。
そのアーティスト像はハイティーンから20歳代前半の、ある程度のルックスも兼ね備えた女性で、アイドルのような「作られたもの」感を極力排除し、ソングライティング能力などのアーティスト指向を高めたもの。その傾向が強い女性シンガーが1990年初頭に多くデビューするのですが、それをひとまとめにして売ろうとしたものが「狭義」意味の「ガールポップ」です。
代表的なアーティストは、相馬裕子(ソニー)、加藤いづみ(ポニーキャニオン)、奥井亜紀(ワーナー)、近藤名奈(ファンハウス)、鈴木彩子(ビクター)、佐藤聖子(フォーライフ)、峠恵子(ソニー)、熊谷幸子(東芝EMI)などなど。そのちょっと前にデビューしている井上昌己(トーラス)などもここに入るのかもしれません。

ただ、一大ムーブメントまでには至りませんでした。理由は、男性向けでもあったため大票田である同世代の女性をターゲットにしそこなったこと、レコ社の真面目な面が出たのかアーティスト自身のハードルを無理に高くさせてしまったこと、イメージ戦略については同時期にあったアーティスト風歌手(例えばZARD等のビーイング系アーティスト)の方が遥かに上手(うわて)だったこと...などが挙げられると思います。

ただ、結果的にはアイドル性をアーティストに求めていったことには変わりなく、結果的に今の誌面のトップを飾るアーティストは「ガールポップ」≒アイドル歌手になっています。まあつまりはそういうことかと。

よって、Wikipediaには該当項目はありません。
(書ける人はそうはいないかと。)
但し、「女性アイドル」の項には...

アーティスト系アイドル

音楽活動がメインで、なおかつアーティスト志向の強い(即ちアイドル色のない)楽曲を歌っているアイドルのことをいう。かつては太田裕美岩崎宏美森高千里といったアーティスト色が強くなおかつ一般民衆のもつアイドルという語のイメージを兼ね備えた女性歌手も存在したが、1990年代以降は一般民衆のもつアイドルという語のイメージからかけ離れてしまったので今やこのジャンルは殆どアイドルとは思われていない。特に倉木麻衣三枝夕夏上原あずみZARD坂井泉水といったビーイング系の女性歌手はマスコミに殆ど顔を出さないことから、一般大衆の持つアイドルという語には限りなく当てはまらないが、人気はかつての正統派のアイドル人気と大差はない。

...とあります。女性アイドルの項目自体が過渡的な状況なので、ここにあるのだと思われますが、これが現状の(広義の)「ガールポップ」でしょうね(内容的には文句ないです)。その場合は浜崎あゆみELTなどのavex系やZARD倉木麻衣などのビーイング系は含まれるべきだと思っています。
確かに太田裕美はこのジャンルの原型でしょうね。
ハロプロもエルダー系はこの路線に近いものがあります。

この売り方は、現在でも他のジャンルを含め多くみられます。他ジャンルでは美人(あるいは美少女)クラシック奏者(上松美香・yumiなど)やジャズ奏者(小林香織など)のプロモーション戦略にそういった匂いをプンプン感じさせらている今日この頃(苦笑)。まあただこれはポップスシンガーではないのでガールポップには含まれませんけどね(笑)。

また、当時アイドル声優だった椎名へきるもこれに近いイメージで売り出したことから、アイドル声優系でもこの路線は脈々と受け継がれています。現在では水樹奈々がその代表格でしょう(楽曲的にね)。坂本真綾もそうかな。
今のアイドルマニアはアイドル声優を聴かなくても生けていけるでしょうが、ガールポップマニアはこのジャンルに片足を入れていかないといけないかもしれません。