巨泉の「金持ち、勝ち組、インテリはテレビなんか見なくなった」

MWAVEさん経由で「naoyaのはてなダイアリー - テレビを見ない人、見る人」経由で「日経ビジネス EXPRESS : 【大橋巨泉氏】金持ち、勝ち組、インテリはテレビなんか見なくなった」。

これを読んで、5〜10年程前のクイズバラエティーの「100人に聞いたら1人しか答えませんでした」系コーナーで、「あなたはどんな(ジャンルの)番組が好きですか?」という質問に「タイトルに『巨泉の』と付いている番組」と答えた方がいたのを思い出しました。素敵だと思います。

さて、色んな方の意見はこちらから読めます。
結構日数経ってたんですねえ(苦笑)。

多分にクローズアップされているのは...

大橋 その見方は、すごく皮相的だよ。(米国では)ビル・ゲイツもブッシュ家も、ニュースやスポーツ中継以外、テレビなんか見てませんよ。(日本も)勝ち組とか金持ちとかインテリがテレビを見なくなっただけなんですよ。負け組、貧乏人、それから程度の低い人が見ているんです。だから、芸能界の裏話を共有した気になって満足しているんです。

...のあたりで、この件についての感想はMWAVEさんのところのコメントにも書いたとおりです。
もうちょっと詳しく書くと、既にケーブルテレビが発達しており、ケーブルが届かないところでは自宅に大きなパラボラを何台も設置して衛星の直接受信も可能だった1990年代前半の米国では、既に多チャンネルがあたりまえであり*1、自分の好みに合ったチャンネルが常にチョイス出来る環境下にありましたので、その頃にはもう既に各階層(階級)毎に娯楽が分かれていたと思われます。有名どころではWWE(旧WWF)やWCWなどのプロレスのムーブメントがその代表例。一方、アメフトが階層を越えて人気なのは、戦術を楽しむゲームでもあるからでしょうね。単なる肉弾戦ならばあそこまで幅広い人気は出ない筈です。

その頃の日本は約10年近く遅れていたかな。私もアナログCSを見ていましたが、2系統で合計10チャンネル強でしたからね...
大橋巨泉氏の言いたかったことは、急激に多チャンネル化が進む現在において「日本も既にそうなりつつありますよ」という警鐘なんでしょうね。
ただし...

テレビを見ている暇があったらインターネットを見た方が、面白い話がたくさん出てくるよ。テレビは今に「貧困層の王様」になるはずです。

日本のインテリさんはオタクだったり、趣味・サブカルチャーにある程度詳しくないと、「単なる仕事バカ」とか「仕事が趣味の人間」というレッテルを貼られてしまう社会でもあるので(日本だけではなく多分に欧州もそうだと思います)、米国のインテリ連中と繋げるのはちょっと無理がありますね。
むしろこの「面白い話がたくさん出てくる」ってのは、単純に「バラエティーがダメになった」という部分と繋げて読んだ方が解りやすいかな。

彼が真犯人のひとつとして挙げている「編集」については、ここだけの話ですが(笑)、番組観覧に行ったりすると長時間ダラダラと録っていてつまらない現場とかがあるんです。番組名は言えません(ハロプロとは無関係です)がトークバラエティの類です。でも後日出来上がったものを見ると何故かみんなスゲー笑っていてと〜っても面白い番組に仕立て上げられていて驚くことがあります。「編集パワーってものごっつい」です(苦笑)。
巨泉さんはそういうのはダメって言ってるんでしょうね。確かにこれって出演しているタレントの能力ではないですからね。視聴者は濃縮されたジュースをそのまま飲まされているようなものですから、これだとタレントは持たないでしょうね。

ただ、歌あり笑いありのショータイム形式の番組は、ライブ感を重視することから、60分番組ならその尺に収まる様に収録するものは今でもあります。歌手の拘束具合によっては待ち時間の長いものもありますが、全員が揃っていれば(NGでも無い限りは)台本どおりきっちり進行します。VTRが流れている時もVTRを本当に流しそれを見ているという感じですね。テレビ東京のある番組は本当に生と同じ様に撮っていました。
こういったタイプのショーはバラドルではなく、(ライブ慣れしている)ジャニーズとかハロプロの得意分野なんですけど、やっぱりMCになるべき人材が不足しているのが最大の問題ですね。要はミュージシャン系の(あるいはコメディアンだけど真面目な曲をきっちり歌って踊れる)司会者が不足している。期待できるのは藤井隆山口智充*2でしょうけど、「Matthew's Best Hit TV」も深夜時代にはその方向性に近いものもあったのですが、ゴールデンを視野に入れてきた頃にはクイズトークバラエティに落ち着いたのが実に勿体無いんですよねえ。
あ、今だと金剛地武志だったらイケるかもしれないですね。山田玲奈*3も出ていた「テレバイダー」は生でしたしね。結構生に強いナイスガイだと思われます(笑)。

松浦亜弥が出ている「歌笑HOTヒット10」も、編集感を極力押さえると数字取れそうな予感はします。出来れば生放送にもう一度チャレンジしてもらいたいものです。まあ日曜日なんで無理でしょうけど(苦笑)。

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つーか、これって俺の持論でもある「息継ぎの聴こえない曲が音楽業界をダメにする」理論と一緒かもなあ。

*1:もっと遡ると、放送局も自由競争であるので地上波からして多チャンネルではありましたが。

*2:前出の「テレビ東京のある番組」に出ておりました(苦笑)。

*3:化粧濃いめだったあの当時の方が好みだったよなあ(苦笑)。