たまに出るヲタ芸の話(その2)

(その1)っていつだったんだろう...それはさておき。

モーニング娘。学会

ヲタ芸とはハロヲタ発祥の文化である。だから、ヲタ芸にまつわる問題について、自分たちのトライブの問題として考えたい。

ヲタ芸ハロプロファン界隈で何故嫌われたのか?っていうのは、それが「迷惑行為」だから。
「迷惑行為」っていうのは、その場での危険行為を指す場合もあるし、その後の増殖を抑制する(牽制する)意味もある。

今までは前者のみが語られやすかったのですが、今回は後者の話。私的にはむしろこっちの方が重要かもしれない。
それは、ヲタ芸の「芸」の部分のみをクローズアップさせると見えてきます。
(「ヲタ」の部分は、機会があれば後日考察してみます。)

「芸」の元になっているのは、一部を除き、親衛隊の技から発展したもののようです。
親衛隊はキャンディーズあたりから存在していたらしいのですが、組織化されたのは石野真子で、この頃になるとディスコダンスを元にいくつかの技が出来上がってきたようです(このあたりを参考に)。

私は乙女塾からアイドル現場にいますが、その当時はヲタ芸はやったことはなかったです。何故なら当時はまだ親衛隊がいたから。1Fに一般客、2Fに親衛隊という図式ですね。当時から「Oi」や「PPPH」は1Fの応援スタイルとして定着しておりましたが、「せーの!○○ちゃーん!」コールはあくまでも2Fでの世界...といった感じですね。あ、ここでいうヲタ芸には「Oi」や「PPPH」は含まれてはおりません。
んで、1980年代はまだ2Fの方が五月蝿かったようですが、1990年代になると状況は変わってきます。アイドル歌手の活動がライブ主体に移ってきたことで、楽曲がロックテイストになり、2Fの応援スタイルは時代遅れになったんだと思います。

親衛隊の衰退は、上下関係を嫌うファンが殆どになったことや、パソコン通信等の流行で、組織化しなくても情報が流通したり意見交換ができるようになったことも大きいのですが、現場でのイニシアティブが奪われたことも大きいかなと。

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以降はハロプロでの話。

私がヲタ芸を目の当たりにするのは、2000年の武道館公演かな。私は1Fスタンドで見ていたのですが、数列前にぴあかなんかで連番を確保した10人くらいの集団がいて、サビと同時に体をクロスさせ始めてスゲー迷惑でした。今から考えると、元親衛隊かもしれないですね。この後1〜2年でヲタ芸が流行りだします。

ただ、アップフロントは親衛隊を容認しない事務所です。「wikipedia:親衛隊 (アイドル)」にはWink森高千里の名前はありません。

また2000年に入ると「モー娘。」等のファン周辺で親衛隊と呼ばれる様な集団が多数存在しているが、往年の親衛隊連合・同盟とは全く違う物であり、何の関係、つながりも無い団体である。ただし個々の親衛隊OB等が現場を仕切る光景は娘。やチェキッ娘、一部のアイドル声優椎名へきるなど)等でも見られた。

確かに特攻服や法被に「私設応援隊」みたいなのが書かれているのを見たりもしますが、あくまでも同好の士レベルですな。

ただ過去には「NaMa's」でしたっけ? 同じTシャツを着て一緒に応援しよう!的な大集団がいて、彼らは親衛隊ではない的な主張だったとは思いますが、幹部になるとTシャツの色が違ったりと、まあ基本は変わんなかったかなと思います。ただ、そういう集団はもうほぼ無いです。理由は事務所がお得意さん扱いをしなかったからじゃないですかね。

いわゆるイベント要員みたいなのはいますが、あれは当選枠や良席の確保を目的としたもので、親衛隊ではない。ただ胡散臭いとは思われてはいる。
その他にも転売グループみたいなのは居るようですけど、まあそういうのは論外ですね。

とまあ、ここまで書けば理解できると思うのですが、単に迷惑行為なだけではなく、不穏な動きをする団体を察知する能力が働いているということです。この手の連中は組織化するとやがて権力化・暴力団体化しますので。
何故、「権力化・暴力団体化」とまで言えるのかというと、多くのヲタはオタクではないからです。硬派な人もいれば、そうじゃない人もいるということです。

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ただヲタ芸を受け入れている人たちもいる。
秋葉系(アキバ系)といわれるアイドルのファンたち。

その基になっているのは声優ヲタさんなんでしょうが、彼らがアイドルノリの応援スタイルをインポートした時期(多分に1990年前後〜1990年代前半)にはまだ親衛隊がいたので、オーディエンス全般が、その「統率(とうそつ)」という部分を残しているんです。声優アーティストは歌手とは違いライブやイベントの数は少ないですから、盛り上げるためにコール表というものを有志が作り、ネットで公開したり会場内外で配布します。親衛隊はいませんが、音頭を進んでとる人(たち)はいるということです。古参ファンや有名ファンがなるケースが多いと思います。暴力団体化しないのは、オタク度が高いことの裏返しです。

一方、ハロプロでは(前出のとおり)「統率」を嫌います。
ただ「じゃあ、サイリウム企画って何?」ってのはあるかもしれませんね。でも企画した方々は普段からコールを考えたり、会場を仕切っていることはありません。うーん...なんだろう...このノリは「タンカーから油が漏れた!海岸を守ろう!」系のボランティアに近いかもしれませんね。参加した人総てがハッピーになるかどうかが重要。

なので、ハロ現場では今でも色んな応援スタイルが生まれては消えますが、それが民主主義的にどう受け入られるか?...という点を頭に入れておくと、ちょっと見方が変わってきます。