能登有沙、SI☆NA、笹峰葵、小倉唯/「HAPPY STYLE」@表参道FAB(その4)

引き続き、今回はアイドル系の話。

ハロプロを除いた、アニメソングとアイドルソングを比較すると、盛り上がりの差があったと思います。それは能登有沙SI☆NA知名度の違いもあるでしょうが、いくつかの部分でアイドルソングにハンディキャップあることも事実で、その差が出てしまった感があります。

一つ目は、聴く機会の違い。
誰しも一度は何となくテレビに映ったアニメが好きになって、その主題歌も好きになる...といった経験があるはずです。能登有沙が歌った曲は(腐女子向けも含めて)その傾向がある。地域格差でリアルタイムじゃなくても、いずれ見る機会はあるし、最近はCS/CATVもある。人によってはディープさを増す傾向がありますが、学生時代ならライトな人でも話題作くらいは気にかけるだろうなと思います。
この点で、アイドルソングはどうか?...アイドルの場合、露出が限られていることと、過去より今が優先されるコンテンツです。アイドルが好きになってその子の曲を聴く...というところまでは辿り着くかもしれませんが、アイドルソングだけを漁る...ってのはかなりニッチな趣味だと思います。

二つ目は、歌い手の思い入れ。
今回選曲に関わった(あるいは影響を与えた)であろう人...多分に現在活躍されている声優さんだのどなたかだと思われますが、声優さんの中にはアイドルを目指して志半ばで挫折して...という方が何人か(何人も?)おりまして、その人は相当な思い入れがあるんでしょう。でもSI☆NAは意味わからず歌っていると思うんです。これが百戦錬磨なハロプロ正規軍なら「MUSIC FAIR」のごとく難なくこなせる仕事でしょうが、まだ「先輩に近付くのが目標です」レベルなので、辛いだけかもしれません。
一方、東京組はアニメ大好きっ子。この差は大きいです。
ただこれは、自覚が出てくると大きく変わるかもしれませんね。

三つ目は、過去のアイドルソングハロプロソングとの構造的な違い。
SI☆NAが今まで取り上げたアイドルカバー曲は全部で11曲あるのですが、今回はその内の4曲のみを披露しました。それは「4曲に絞ってあとはポイ捨て」なのか、「今回は4曲で次回は他の7曲を...」なのかは、ちょっと見えてこない印象でした。
その4曲中、明らかに「昼→夜」で盛り上りを感じたのは高橋由美子の「Fight!」。以前指摘した「ライブを意識した曲作りだから」ってのが見事に証明されちゃった感があります。
その一方で、ハロの曲が多くなったのは、準備期間の問題もあるかもしれませんが、それ以外の大きな要因としては、ライブ用に最適化されている楽曲群だからです。「AメロBメロ(PPPH)サビ」がしっかりしていて、アップテンポが多い。一方、(今回ターゲットとなった1980年代後期〜1990年代前半)当時のアイドルソングでこのフォーマットだったのはCoCoをはじめとした乙女塾系など、ライブ活動中心の一部のユニット・アーティスト。他の殆どのアイドル歌手はせいぜい歌番組か、デパート/ショッピングセンターでのイベント出演までで、ライブを見据えたフォーマットではない。なのでシングル曲もミドルテンポやスローテンポが結構多いし、CDそのままでライブに使えるかはちょっと疑問なアレンジもある。それと(当時のアイドル志望の女の子の性格のせいか)暗い曲も多い。弱々しい女の子を親衛隊のコールで何とか元気にさせる...みたいな風に見えちゃうかもしれませんね。

とまあ、こんな感じですが...

でも...ね(苦笑)。

サルみたいに盛り上がるだけがライブなのか?...っつー気もするんだよ。

今回のライブは場所が狭くてぎゅーぎゅーってのもあるけど、騒がずにじっくり聴いている人がはるかに多かったです。巡回していても密かに「田中陽子田村英里子が聴けてよかった」的な書き込みもある。騒ぎに火をつけちゃった人も、カバーコーナーではそこから外れて、じっくり聴いていた模様...うーむ。
なので、「跳べない曲」や、ミドルテンポ&スローテンポの楽曲をあえてメインにするのもありかな...なんて思っています。まああんまり古い楽曲だと曲調的に違和感があるので、今回の様に1988年(8cmシングルCDが出始めた)頃以降の楽曲で、またチャレンジして欲しいと願っています。

ちなみに、ネタありまっせ(笑)。ご意見ご要望系のメルアド公開してくれたら、リストアップしてあげるんだけどなあ。
「良い曲なんだけどノレない」ってのなら結構あります。いわゆる胸がキュンとなるヤツですね。でもそちらで言うところの「キュンキュン系」ではありません(苦笑)。
あきらめて「ハロヲタでもノレるアップテンポ系の曲を」でも大丈夫です(苦笑)。乙女塾以外でも(微少ですが)あります。
「キワドイ曲ない?」もOKです。「水着姿で歌える曲」も大丈夫です(爆笑)。

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ついでにSI☆NAの件も。
いわゆる「歌唱力」の件です。

まず俺の中山菜々。歌唱力抜群の歌手が歌っていた「もっとHurry Up!」ではなく、音程が残念な歌手が歌っていた「涙、止まれ!」のみが採用されたってことは、めっちゃ興味深い。やはりプロが作った曲は、その人の音域にあった曲作りをしているって意味でも、めっちゃ参考になりました。採用されなかった姫乃樹リカは脂がのりまくった頃の曲なので、テクニカルなんでしょうね。
当時のアイドル歌手は「極端に上手い子」か「極端に下手な子」が大半。「極端に上手い子」は歌自慢系の大会でチャンピオンになった風味の子たち。演歌志望もいる。でも、売れる子って「自然に上手い子」なんですよね。だからそういう子の曲を探すのが手っ取り早い気もします。なかなかいませんけどね。ちなみにハロは「自然に上手い子」と「自然に下手な子」の集団です。

それと、ファーストインプレションは「NEOメロン記念日」っぽかった。ちなみにウチの周辺では(メロン好きとおぼしき)阿部麻美の人気が高かったです。ブログ等の写真は地味だけど、実物はハロヲタ好みの顔立ちで、スタイル良いですね。それと姿勢がいい。キリッとした感じがある。ただ歌唱力は岩嶋&須磨には劣る。これで上手くなったら世界観に厚みが増しますね。
で、麻美が歌った「赤いフリージア」なんですが、この曲は柴田あゆみのウエイトが高い楽曲。最後のフレーズも難無く歌いこなせる柴田先輩と比較したら、ちょっとかわいそうな出来でしたが、がっかりしないでね。もし機会があったら1stの「甘いあなたの味」を聴いてみましょう。柴田先輩別人です。この後、2ndの「告白記念日」を娘。@武道館で披露するのですが、口パクでした...その程度の実力だったんです。でもその後どうなったか...っていうのを妄想してみたら先輩たちに聞いてみたらいいかも。

終演後の感想戦(笑)でちょこっと出てきた話題が「『シェキドル』が今デビューしてたら居場所あったね」といった話。あの当時デビューした一風変ったユニットは、とことん無視する傾向があったよね。理由は様々(抱合せ販売的なイメージが強かったなど)だけれども、今回みたいなイベントは昔だったら誰も来てくれなかったはず。でもこれだけ集まった。1〜2割はやらかし連中だったけど、それ以外の8割のお客さんはちゃんと聴いていた。やっぱ時代は変わったなあ...ってしみじみ思います。

SI☆NAはホームグラウンドが関西なのでプロモーションで多少ハンディキャップがあるかもしれない。なので、例えばGIZAのアーティストはアニメ主題歌タイアップといった戦略をとっている。その場合、OP/EDとも顔は出てこないので*1、武器になるのはやはり「歌唱力」です。ハロヲタは温かい目で見てくれるけど、世間での君たちは今のままでは「シェキドル」状態かもしれん。
ただ「歌唱力」といっても米国の歌姫のコピー歌手みたいのはやりすぎで、メロン記念日みたく良曲を自分の色で染められる歌唱力があればいい。それはデビューまでには出来上がれば良いし、無理なレッスンで喉を壊さないで欲しいってのもある。柴田先輩は根性であそこまで持ってきたと思うんだけど、結果的に「自然に上手い子」に仕上がっているのが凄い(笑)。岩嶋も須磨も今は自然さがあるので、それを失わないようにしようね。テクニックに溺れないように。

とまあ、そういうことだね。
次回は...どうしようか(苦笑)?

*1:きらりちゃんは例外中の例外(笑)