アイドルウォッチャー系記事

オリコントップ10に入った「AKB48」と「アイドリング!!!」 モー娘。との違いは?(日経トレンディ)

「トレンディー」と名の付く経済誌(紙)なので、過去のヒット商品との比較をしなければいけない宿命もあるのですが、一般人はともかくハロヲタ的には「?」が付く内容かもしれません。
評論家って評論だけでは多分に食ってはいけないので、何かをしないとダメなんでしょうけど、多分にアップフロントはこの手のアイドルウオッチャー達にお金を落とさないと思うんですよ。なのでBARKSに代表される音楽業界シフトの記事とは視点はかなり異なる傾向がある。
またウォッチャーは「シーンがそうなっている」より「シーンをそうしたい」と、ここで書いたことを事実としたい傾向もある。
以下は細かい部分を。

 複数の芸能プロに所属する混成部隊というスタイルは、かつての「おニャン子クラブ」と同じ方式。これに対して、「モーニング娘。」の母体集団である「ハロー!プロジェクト」は、全員が一つの芸能プロダクション(アップフロントエージェンシー)に所属している。どちらがアイドルユニットの知名度向上に最適なシステムとは必ずしもいえないが、少なくとも、メンバー一人ひとりにファンがついている傾向が強い現在の状況には、展開に自由さがあって、ソロ活動をユニットの知名度アップにつなげられる「おニャン子」型の戦略が合っていたと言えそうだ。

「メンバー一人ひとりにファンがついている傾向が強い現在の状況」ってのは、ウチのブログ読んでいて気がついたのかもしれませんが(笑)、そんなのは昔からそうです。ヒットに結びつくのは概ね「楽曲」中心か「メンバー」中心かのどちらかです。前者が強すぎると一発屋になります。きっかけは前者であってもメンバーに個性的な魅力があれば二発目が期待出来る。サザンオールスターズが最たる例だし、娘。もそう。
「展開に自由さがあって」云々については一社・他社の体制の問題ではなく、「歌手やってます」の子より「タレントやってます」の子の方がテレビ的に使いやすく活躍して見えるってだけのことです。時東ぁみを見るとファン数はそこそこでも活躍の場(マネージメント?)がデュアルな分だけ、活躍の場が広いですよね。

じゃあハロプロもそうすればいいじゃん...なんですが、「タレントやってます」シフトの子がCDを出しても(強力なタイアップがなければ)売れません。やはり支持母体がしっかりしていないと売れないんです。ジャニーズは見た目「タレントやってます」主体でもユニットは売れますが、支持母体が大きいってのは魅力的ではある。ハロプロがそれを実現する為には、歴史的にもうちょっと先に進まないと難しい面はあるかもしれませんね。

ちなみに、複数社体制は多くの場合、企画(番組や雑誌)主導であること。
ハロー!プロジェクト」は現在では1社体制ではありますが、当初は1社ではなかった。それは「ASAYAN」や「アイさが」主導だったこともある。
複数社の利点は、結成当初に頭数を揃えるのが容易なため。いわゆる「こういう企画があるから、これだけの人数が欲しい」という際に、公募をかけるか業界内オーディションで集めるかの違いで、当初から公募は難しい。
また、結果論に過ぎませんが、企画終了=解散に追い込まれた時の救済処置にもなる。

AKB48については別の要因がある。
私は劇場スタート当初にAKB48を見に行きましたが、劇場の当初のコンセプトは「常設オーディション会場」的な発想だったと記憶しています。タレント予備軍の子達に秋葉原48劇場を提供して、そこで活躍するとメジャー事務所に拾われる...を目標に彼女達は励んでいたはず。そして拾われた時点で卒業だったような...それが事務所に所属が決まったにもかかわらず卒業していないのが気になります。
私的にはnicolaを卒業してブレイクした新垣結衣の様な子が出てくると、差別化が図れていいかなとは思います。卒業後でも成功度合いに応じてある程度の報酬が入るシステムがあれば会社として潤うでしょうし、そうすれば公募で集まる子の質も上がるかなと(オーディション受ける子は結構そういう部分をシビアに見ています)。それが困難なシステムになってしまっているのが気になります。

 メディアへの露出という点では地上波の番組に依存しない、という点が特徴的だ。

紅白を無視していますな。これも、「シーンをそうしたい」ってことなんでしょうね。

しかし、今はファン層やテレビ界の状況が変わり、特定のターゲットに情報を提供するメディアのほうが、効果的なプロモーションに適している。「AKB48」も「アイドリング!!!」も、地上波中心ではないので情報量が少なく、ファンが能動的にメディアにアプローチしなければいけなかったことが、熱心な固定ファンの獲得に結び付いた。

これは、全般的なCDセールスが減っている中で、10枚買う熱心なファンを1000名程度確保すれば1万枚を突破出来、そこでTOP10が狙えるという今の現状に合っています。また、ファンも同年代ではなく、働く世代が支持していることも大きい。
でも、こちらにも言えますよね。TNXも事実上そうなっている。小規模イベントの繰り返しでは、その1000名は体力(=金銭)が消耗しやがて現場を去る。それを見越して(地上波などに露出して)ファンを入れ替え1000名を守り続けるという方法論。ただし、その1000名がお金を落とさない1000名(つまり同年代)だと困る...ということもある。
ただ短期的には「困る」かもしれないが、長期的には困らないかもしれない。ここが一番難しいところですね。