Hello! Project 2006 Summer〜ワンダフルハーツランド〜@代々木(℃-ute&Berryz工房編)

俺は一応音楽ファンの端くれなので。そういう視点からライブを楽しんでいます。

℃-uteのインディーズリリース楽曲群を観た感想

相当に古い例えで申し訳ないですが、「キャプテン」という野球漫画があります。Berryz工房青葉学園だとすると、現在の℃-uteは墨谷二中みたいなもの。墨谷二中のキャプテン谷口はその差を埋めるために、守備位置の距離を半分(時には1/3)に狭めた上でのノックを決行しますが、(ここまで発売された)インディーズシングル3曲はそれと同様の位置付けがあると思います。
そのようなスパルタ教育実施中の℃-uteですが、ステージに立てる喜びの方が上回っているのか、吸収力は相当なものです。メジャーデビューの時点ではダンスレベルでは問題なく追いつくのではないかと思います。

ただ、もしこれがメジャーデビューと同時進行だったとしたら、一般リスナーはついていけないだろうなあとも感じました。
振り返ると、POP JAMのブレイクレーダー(だったかな)で、Berryz工房の「ピリリと行こう!」の点数が芳しくなかったことと同じ状況なのかもしれません。Berryz工房も初期3部作はその(まずダンスを叩き込もうとする)傾向が強く、歌う楽しさが芽生え始めるその後の作品とは多少趣が異なっています。

上記のことから、メジャーデビュー後に本来の℃-uteサウンドが姿をあらわすのかもしれません。そう考えるとわくわくしてきませんか?

ユニットのサウンドイメージを考える場合、他社でありがちなのが「まず方向性ありき」の姿勢です。具体的にはHIPHOPダンスユニットとか、R&B系ユニットといった感じでデビュー時にガチガチに固められてしまう傾向があります。デビュー時のプロモーションはそれでもいいのかもしれませんが、アイドル世代の多くは成長期でもありますし、徐々に意外な個性も見えてきてしまい、そこで袋小路にはまってしまうというパターンはよく見かけます。
それに対し、ハロプロは(限定ユニット以外は)あまりそういったイメージを提示してきません*1
また、つんく♂師匠は「今回はメンバーの誰々を意識した作品に仕上げた」という発言をします。これは見た目はいい加減なコンセプトなのかもしれませんが、それがユニットを長持ちさせます。

また、どのインタビューで発せられたかは失念しましたが「○○が納得しないと先に進めない」云々なんていうことも言っていた気がします。そういう存在はかつてのモーニング娘。では安倍なつみがそうでした。
Berryz工房サウンドイメージを考えた場合、これは個人的な印象ですが、熊井友理奈を納得させないと先に進めないユニットだと思うんです。それは彼女がツンデレだからという意味じゃなく(笑)、嗣永桃子夏焼雅菅谷梨沙子も相当にいい加減な曲でも無難にこなすと思いますが、熊井友理奈は小細工なしでストレートにぶつかってくるタイプ。今が1980年代末期なら「私アイドルなんて嫌。ロックやりたい。」なんて言ってきそうなタイプ。なので彼女の存在は並々ならぬ緊張感をもたらしてくれます。

(もしこれが当初の予定通り「シャッフルユニット」的なプロジェクトだったら、どうなったでしょうか?)

じゃあ℃-uteではその役割が誰か...なんですが、器用な子が多い反面、ストレートな感性を持っている子が少ないのが現状です。この中でカギを握るのは成長過程真っ只中で大人像がなかなか想像できない岡井千聖か、実は小技満載なんだけど天然感を演出しているフシのある(俺の)中島早貴のどちらかだとは思っています。

#ついでに、現状のモーニング娘。でその役割は誰か?も考えてみた方がいいかもしれませんね。

ちなみに、Berryz工房サウンドイメージは、時には70'sバブルガムソウル(「恋はひっぱりだこ」)だったり、80'sエレポップ(「恋の呪縛」)や、ギンギラギンな馬飼野サウンド(「スッペシャル ジェネレ〜ション」)だったり、60'sバブルガムポップス(「21時までのシンデレラ」)や、80'sバブルガム(「ギャグ100回分愛してください」)と、どんどん幅を広げていっていますが、総じてバブルガム・ポップスが主体のアーティストです。このジャンルは音楽に真剣に向き合わないと悲惨なことになってしまいますので、他のコンポーザーたちがやりたがらない(出来ない)ジャンルだともいえます。よって楽曲の新鮮さが極めて高いのが特徴です。

℃-uteの場合も結果的には同じようなサウンドイメージになるのかもしれませんが、ただ個性レベルでは違うものになるとは予想しています。

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Berryz工房の功績と、今後のありかたについて

Berryz工房の登場前にもU-15の市場はありましたが、どちらかというとCM/ファッションモデルか子役か、あるいは男性専科な写真集や撮影会モデルといった仕事が中心だったと記憶しています。
他社でもキッズビジネスを展開したところがありましたが、アニメ関係の仕事(声優やマスコットキャラクター)やミュージカルなどが中心でした。
いわゆる専業歌手という市場はほぼなかったに等しく、よってこれだけのファンを開拓した功績はすばらしいものがあります。

今回の新曲もバブルガム系の楽曲ですが(夏から初冬にかけてはその傾向が強い)、今回は50's色が強い作品。50's(実際は1950年代後期から1960年代初頭)は今まであまり取り入れなかったジャンルですが、現行のアイドルポップスが誕生する以前のサウンドなので、特に難易度が高いです。単なるオールディーズ趣味で終わってはいけないですから、どのようにBerryz工房色が出せるかを見届けていきたいです。

今回、観て感じたことは団体ではなく個人プレーにスポットライトを当てていたこともあり、それを各自が見事にこなし切ったという点がまず評価できます。これを観る限り、あの時一般リスナーを置き去りにしてしまったユニットとは全く違う姿がそこにはありました。
それは確実に今秋のTBSのビッグスポーツイベントのサポートという大役を任されることへの布石だったのかもしれません。
これだけのイベントですから、ある程度のブレイクは期待できるとは思います。個人レベルで自信をつけつつある今だからこそ、ここはサポーターでもあるオンリーファンの腕の見せ所だと思います。今は必死系界隈の人気は落ち着いておりますので、それが逆に功を奏する可能性もありますね。
ともに頑張りましょう。
(「ともに」ってなんだよ(苦笑)。)

そして菅谷梨沙子がビジュアル的にいつでもGOサインを出せそうな印象だったこと。これは大きいね。上手くやれば、世界一美しい小学六年生に日本中が虜になる可能性もありますので、是非抜かりのないようにお願いしたいところです。

*1:いや、シェキドルあたりまではそういう提示の仕方をして、失敗もしていましたね。