アイドルファンについて(その4)

続き

id:fujihiroさん(コメント)。

アイドル現場でのファッションは,SF→マンガ→アニメ流れの「おたく」という呼称とは全然関係ない流れなのではないでしょうか.

おっしゃる通り流れ的には別世界です。
例えた理由は、1980年前後のアニメファンに対し、いわゆる(今で言うところの)サブカル的な見方をしていた人達と、ホンダ。さんの意見がオーバーラップしたからです。
サブカルの定義って何?...と言われると難しいものがありますが、当時だと(A5版時代の)「宝島」とか「STUDIO VOICE」の読者あたりですかね。当事者達よりやや外側で眺めている人達ですね。さらにその外周にマガジンハウス系雑誌の読者...といった感じでしょうか。その人達が内側にいる人間に対しアプローチする手法は今も昔も変わってないと思うんです。

ちなみに当時の文章です。それっぽい視点ですよね。

80年代に中高生だった自分の記憶では,アイドルファンは当時「おたく」とは呼ばれていなかったと思うので,古典的な「おたく」の話とつなげるのは無理があるのではないかなぁと思います.

確かに呼ばれてはおりませんでしたが、それは「おたく」という言葉自体がアニメ・漫画ファンのそれも一部の専門用語だったことが大きいです。

それを説明する前に、まずアイドル史をマーケット的に整理します。
1970年代のアイドル歌手は南沙織天地真理からスタートします。その正体はCBSソニーが仕掛けた「ヤングポップス」と言われるジャンルです。南沙織はストレートに若者向けとして一貫しておりましたが、天地真理は大衆性がウケたことで、1970年代のアイドルは天地真理型が主流となります。今で言うところの「国民的アイドル」ですね。
これが1980年以降になると、大衆性を弱め始め、本来のヤングポップスの性格を強めます。これは松田聖子の成功でアイドル歌手の定石が出来てしまったことも大きいです。また子供部屋にTVが置かれ、「お茶の間のアイドル」を意識しなくてよくなった。ただここでマーケットを絞ってしまいます。
さらに1985年のおニャン子や、その前後のMomocoクラブや、「スケバン刑事」といったメディアミックス系のアイドルの台頭で、マニアでないと楽しみにくい環境が出来てしまいます。さらにマーケットを絞ってしまうんですね。

その後、M君事件により「おたく」というキーワードが世間に広まります。
当時はバンドブームもあり、アイドル歌手は時代遅れ的な認識もありましたが、マーケーットを絞り込んでいった結果、大衆から隔離されてしまい、結果的に(1990年前後には)「おたく」視されるに至ったと思われます。
非ハロの中でU-15と呼ばれるジャンルに多い、アイドルウォッチャーってのいうのも正にそうですね。

...と、ここまで書いたところで気がつくかもしれませんが、アニメも最初から「おたく」がいた訳ではありません。もともとアニメは大衆(特に子供)のためのもので、ヤマトブームの頃は若者のポップカルチャーの最先端だったのです。テレビのワイドショー(「小川宏ショー」だったかな)で何度かアニメ特集が組まれたり、デパートの催事の目玉企画のひとつだったり...と、この時期は市民権があったはずです。これが「おたく」化する要因は、そのマーケットにいるひとを狙ってウケる作品を作ろうとする動きが重なった結果です。なので5〜10年遅れでアイドル歌手も「おたく」化したということですね。その意味では共通の現象とも言えそうです。

むしろ,親衛隊なども含むヤンキー的な文化の流れなのだと思います.
一般人や通行人に奇異な目で見られることなんて百も承知,それが自分の誠意・一途な心を表現している,というのがヤンキー魂なんだと考えています.

1980年前半型といえる中山美穂工藤静香が「アイドル冬の時代」で生き残ったのは、正にそこなんですよね。

話はハロプロに移りますが、国民的アイドルという冠がついていることもあり、イメージ的には1970年型です。親衛隊が出来ない理由は、事務所が団体席的なものを設定していないこと、昔のように情報を一部のものが握ることが出来ない...などがありますが、ただ特攻服がいても違和感の無い世界です。
面白いのは、メンバーによって特攻服のシェアがかなり異なること。極端なのはダブルユーで、あいぼんファンには目立ちましたが、ののファンにはほとんどいなかったと思います。これはメンバーの育った環境や空気感によるところが大きい。
また、最近は特攻服自体減少していますが、これはハロメンの「萌え化」が進行したことや、メディアミックス型のメンバーが増えてきたこともあるのかなと思います。

ちなみにハロプロファンが「モーヲタ」などと呼ばれた理由は、既にアイドルがオタク趣味になったことから...よりも、色んな趣味の人がセカンドプライオリティでファンになった際、オタク趣味を持っているファンがある意味で牽引したことも大きいかなと思います。
例えば「○○かわいいよ○○」はこちら発祥ですが、アニメファンも使っていますし、「○○は俺の嫁」も両者が使っている言葉ですね。なので共通のファン層が確実にあります。ただ、それぞれの空気感がありますので、その世界の住人モードになった場合は、別世界の話はしない傾向がありますね。

とはいえ、根本的に異なる部分があります。
アニメや漫画のファンダムはそれを知らない人間には敷居が高いですが、アイドルのそれはその人のバックグラウンドを一切問いません。極端な話アンチでも参加できる世界です。

私的には元アニオタでもあるので、オタク向けコンテンツにもある程度はついていけますが、それだけではダメで、やはり全方位的なアーティストがメインであって欲しいです。能登有沙も必要だし、真野恵里菜も必要だということですね。